第70章 彼女があの火鍋店を気に入っているなら、買い取る

長谷川栞は高野咲子の視線に気づき、彼女が善意で気を遣ってくれているのだと分かった。

「栞さん、苦手なものってありますか?」

高野咲子は少し言い淀んでから続ける。

「たとえば……白子とか……」

長谷川栞はわずかに眉をひそめた。

本当は「栞さん」ではなく「栞姉さん」みたいな呼び方をやめてほしい。けれど、もう退勤後だ。今さら「部長」と呼ばせるのも堅すぎる。

彼女は首を横に振った。

白子は食べたことがない。でも、避けるほどでもない。

高野咲子は「ササッ」と、いわゆる“重め”の具材をいくつか追加で頼んだ。

料理が揃うと、高野咲子が身を乗り出す。

「栞さん、写真撮ってもいいですか?」...

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